201502seedling

 2012年に新しい農園のコーヒーの植え付けをした。まず、大型ブルドーザーで整地し、次に土壌流出を防ぐための芝生の種をまいた。畑のデザインを決め、植え付けのための穴を掘り、いよいよ苗木の植え付けをする。

 地面に直接、コーヒーの豆(種)を植えるのはダメ。育つのに時間がかかるし、大きくなる前に雑草に覆われて、育たない。

 50~60cmに成長した1歳半ぐらいの苗木を買って植える。コストを節約する為に自分で苗木を育ててもよいが、苗木が育つまでの2シーズンを無駄にする。つまり、収穫が始まるのが2年遅れ、その間、収入なし。結局、苗木を買ったほうが経済的に得だ。

 自分の畑より標高の低い場所で育てられた苗木が良い。逆に、標高の高い所(涼しく、曇りが多く、雨が多い)の苗木を標高の低い所(暖かく、晴れて直射日光量が多く、乾燥している)の畑に植え替えると上手く育たない。

 線虫のいない苗木を使うことが重用。線虫とは根に付く小さな生物で、コナには強烈な線虫がいる。根がこれに汚染されると、コーヒーの木は死ぬ。畑全体に広がると、その畑は2度とコーヒーを育てられなくなる。苗木業者は種を植える前に土を焼くなどをして、細心の注意を払う。信頼できる業者を選ぶことが肝要だ。

 ちなみに、コーヒーの木の下には豆が落ち発芽して勝手に生えてくる。これを他の場所に植え替えるのは厳禁。畑のどこに線虫が潜んでいるか分からない。土の中に住む線虫は早くは移動できない。ある木が汚染されても、隣の木まで移動するのに数年はかかる。しかし、やたらと植え替えると畑全体に線虫が拡散するリスクを負う。

 苗木を買ったら、いよいよ植え付け。コーヒーの根は真ん中に主軸となる太目の根がある。それが深さ1mほどまで伸びる。主軸の根が真っ直ぐ伸びるように植える。それが横へ伸びると、やがて枯れる。Jルートと呼ばれ、よくある問題だ。また、掘った穴には充分な深さがなくてはならない。すぐに固い大きな岩にぶち当たると、やはり枯れる。主軸の根の周りに産毛のような根が密集している。その細い根を少しほぐし、軽く切ってやる。すると植え付け後に、細い根が勢い良く成長する。

 頻繁に起きる間違えは、しっかり固定しようとして、深く植えすぎることだ。幹の根元の土のラインを、植え付け後も同じ位置に保つ必要がある。元々の幹の最下部が地中に埋まると、そこから腐って枯れてしまう。根が少し見えるか見えないか程度に植える。結構グラグラして不安だが、数ヶ月で苗木は自らを立派に固定する。

 最後に50~60cmの苗木の上の部分を切り取る。すると、植え付け後、そこから2本の縦幹が伸びてくる。幹1本よりも収穫量が増える。しかし、欲張って幹を3本も4本も伸ばすと、若い木には実が多すぎて枯れる。

 2,100本以上ある苗木を植えるのは、難儀な作業だった。大型の掘削機で開けた穴を人がつるはしとシャベルで深さと大きさを調節。畑のあちこちに、トラックで運んできて山盛りに積んである土をバケツで運び、穴を埋めて苗木を植えた。大層な力作業で、私には1時間以上は無理。若い男たちが数人やってきて、上半身は裸で、鍛え上げられた筋肉に大粒の汗を流しながら何週間も作業をした。妻はかつてNYで働いていた頃、「肉体の貧弱な日本人とは違って、ニューヨークの男はスーツが似合うね」と言っていたが、今度は「ここの男達の裸は立派ね。やっぱりハワイは楽園だわ」とうっとり。