2001410 Oxalis

 2012年に下隣の3エーカーの土地を買い増しコーヒーの苗木を植えた。まずは大型ブルドーザーで整地をした(先月号)。次は芝の種をまく。芝は畑の土の質を向上させる。日光で表土が熱くなるとコーヒーの木の根が弱るので、芝で表土を冷たく保つ。土の保湿にも役立つので水の節約にもなる。微生物が増え、土が柔らかくなる。さらに、芝は土壌の流出を防ぐ。集中豪雨に備えたものだ。

 芝の種類はハワイのゴルフ場でおなじみのバミューダー芝を選んだ。一度、根ずくと、背は高くならずにどんどん横に広がる。乾燥への耐性も高く、管理が比較的に容易。しかし、根付くのに歳月がかかるので、その間に雑草に領地を占領されてしまう。

 それを防ぐ為に、1年性ライ芝の種をバミューダーと同時にまく。ライ芝はすぐに発芽する。30cmほどの高さになり地面を覆って、雑草を防ぐ。英国のゴルフ場やウィンブルドンのテニスコートは多年性ライ芝。1年性ライ芝も似たような芝だが、1年以内に枯れてしまう。その間に、バミューダー芝が地面を覆うまでの時間を稼ぐ。

 それでも何種類もの雑草が生える。除草剤はなるべく使いたくないので、こまめな芝刈が肝要。雑草が種を作る前に刈る。逆にバミューダー芝は刈れば刈るほど強く横へ伸びる。やがて芝が優勢になり、雑草は駆除されていく。2年たった今でもこの過程の途中で、今でも毎月の芝刈りは欠かせない。芝を張るというのはなかなか大変な作業だ。

 さて、コーヒー畑の話ではないが、以前、家の前の芝生を張り替えた。キクユ芝が植えてあった。ある日、庭師が突然やめて、自分で芝刈りした。ところが、芝目が強すぎて、芝刈り機がすぐに止まってしまう。頭にきて、翌日には除草剤で全部やっつけた。

 アメリカでは、夫の最も重要な資質はバーベキューを取り仕切ることと、家の前の芝を綺麗に保つこと。黄色く枯らした芝では、沽券に関わる問題だ。キクユ芝の代わりに管理の易しいセンティピード芝の種をまいた。本来は、それが生え揃うまでの時間稼ぎにライ芝の種も同時にまくべきだが省略した。これが間違え。センティピード芝が生え揃う前に、Oxalisという強力な雑草があたり一面を占領した。ハート型の葉が3つありクローバーのようだが、似て非なるもの。その憎々しい赤い根からの分泌物で、周りの植物を枯らす。成長が早く、種をポンと遠く散らし、どんどん領地を拡大していく。無敵の雑草だ。

 一家の主の権威の問題なので、畑では使わない種類の除草剤を投入。園芸店には世の男性の為に、芝を殺さず他の植物を殺す芝生用除草剤の品揃えが豊富。買ってみた。全然効かない。逆に芝が枯れて、益々Oxalisが増えた。駆除不能だ。

 いくつか試し、やっとOxalisに効く配合を見付けた。さらに、畑での技術にならい、遅まきながら発芽の早いライ芝の種をまいた。徐々にライ芝とセンティピード芝の領地を拡大していった。一年以上かけて、やっと芝が優勢となった。かくして、我が家の名誉は保たれた。

 しかし、敵ながらOxalisは粘った。賞賛に値する。このあっぱれな雑草は何者かと調べたら、なんと日本語では「かたばみ」。こっこっこれは。。。。

 実はうちの家紋は丸にかたばみ。私の先祖は新潟県長岡の商家で、今では何も引き継ぐ財産もなく、親戚も長岡を離れてしまったが、私は一応14代目の当主だそうだ。子供の頃、父から家に伝わるそろばんやら風呂敷やらに描かれた丸にかたばみを見せられ、先祖代々受け継いできたありがたい家紋だ、大切にせよと教えらた。

 家紋の本によると、かたばみは繁殖力が強く駆除が困難で一族繁栄のシンボル。一族繁栄を願い、かたばみを家紋とする家は多いとある。ご先祖様、ごめんなさい。不肖14代目は、あらん限りの知恵と近代科学を用い、我が家の象徴かたばみを根絶やしにしました。