202001 cupping
コーヒー栽培のシーズンのハイライトは試飲。先日精製した豆を等級別にカッピングする。緊張する。

他の方々のカッピングとは事情が違う。品評会の審査員ならば、点数を付けて、このコーヒーは良いとか悪いとか言えば済む。買い付け担当なら、飲んで嫌いなら買わなければよい。大手の農園ならば、何種類も異なるバッチを生産するので、そのたびに試飲して、バッチごとの優劣をつける。私どもの様な夫婦2人の零細農園は、年間のすべてのクロップをまとめて精製・出荷するので、一発勝負。満足のいかない味ならば、一年の苦労が台無し。なすすべなし。後戻りはできない。逆に、満足な出来栄えなら、至高の喜びだ。農家の醍醐味がここにある。

日々、コーヒーを摘みながら実を食べてみる。果肉の味は実の健康具合を示すので、その年の出来具合は大体の見当はついている。しかし、焙煎して飲んでみないと確かなことは分からない。茶碗蒸し用の椀でカップするのはご愛敬。サイズが丁度良い。

 

シュー。すすってみた。よい出来だ。嬉しい。

ドリップしてみた。これも良い。また嬉しい。

サイズ19(19/64インチ、以下同様),18,17,16と甲乙つけがたし。

個人的には、私はサイズ16、妻はサイズ17が良いとの感想。あくまでも今日の個人的な感想で、SCAの採点基準では点数にほとんど差はないだろう。

ちなみに、見た目重視の日本ではExtra Fancy(サイズ19、一番大きい豆)とPeaberry(一番小さい豆で形が独特)が珍重されるが、コナのコーヒー農家やQ Grader(鑑定士)の間では、サイズや形による香味の優劣はないというのが共通した見解。

我々零細農園にとって、味が良いことはもちろん重要だが、味のばらつきが少ないことも大切。つまり、平均が高くて標準偏差が低い方が良い。今年はPrimeに格下げになった豆が少なく、僅か8%。しかも、Primeの味もまずまず。ということは、全体的にまとまって、質は良かったという事。これは嬉しい。

大農園の中には、逆の戦略を採る所もある。わざとばらつきを出す。クズが多く出てもよいから、ホームランを狙う。ホームランを出品して品評会で入賞すれば、名が売れる。するとクズも売れる。これがスペシャリティー・コーヒーの裏の顔。COE(国ごとの品評会)入賞の農園という触れ込みのコーヒーを飲んでガッカリすることが多いのはこのため。入賞したコーヒーと、入賞したコーヒーを作った農園の一般的なコーヒーは違う。だが、生産量が少なく、毎年一発勝負の当農園には、そんな戦略を採るゆとりはない。ホームランは狙わず、全量まとまってスペシャリティーを目指すのみ。

ちなみに、コナコーヒーの等級には、Extra Fancy、Fancy、No.1、Select、 Primeと続く。昨年のコナ全体の統計では、Extra Fancy、Fancy、No.1、Selectを合計しても全体の17%程度。一方、 Primeが70%程度と大多数を占める。ここまでは卸売用、つまり、販売相手は仕入れ担当のプロ。さらに、その下には、3x、Off Grade、 Rubbishという等級が続く。ハワイのお土産屋さんのコーヒーは3xが主力で、ブレンドやフレーバーコーヒーならばOff Gradeが使われる。

うちの農園では、例年、原則的にPrimeはコナの他の農園に売る。ただし、山岸農園の名前を使わないことを約束してもらう。一般的には、Primeならは上出来だが、私は山岸農園の名前では売りたくない。その下の、3xやOff Gradeは今年は2%ほど出たが、これもまた別の農園へ売る。Rubbishは破棄(畑に撒く)。

毎度のことだが、2019-20年のシーズンも、様々な難題にぶち当たった。だが、どうにかこうにか克服して、最終的には、まとまった品質のコーヒーになった。

カッピングは朝から緊張したが、ほっとした。今は徳勝龍関の次ぐらいに嬉しい。カッピングのし過ぎで、「喉がカラカラでした。」

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