202001 pick red
ホノルルの日本語ラジオ放送KZOOを聴きながらコーヒーを摘む。ハワイには色々な観光名所があるが、私にはハワイで一番面白いのはKZOO放送だ。

KZOO放送の看板番組は電話応答のコーナー。リスナーが電話で質問やら自分の体験、考えなどを投げかけ、それに対して他のリスナーが答える。日本人アナウンサーが仲介して会話の輪が広がる。日本語を話す日系人も登場し、ハワイの日本人・日系人が助け合う趣旨の番組。もう10年も前だが、面白い会話があった。

日系老女A:「私は子供の頃から、青はグリーンの意味と思ってましたが、友達が青はブルーだというのです。それは本当ですか?葉っぱや芝のグリーンは青ですよね。」

アナウンサー「そうですね。日本語では青と緑の区別が曖昧なところがありますね。どう使い分けるのかをご存知の方はお電話ください。」

しばらく色々なやり取りが続き、とんちんかんな答えもあって面白かった。最後に、

日系老女B:「あなた、緑という漢字を学校で習ったでしょう。青の漢字とは違うでしょう。緑と青は違う色。緑はグリーン、青はブルーに決まってるでしょう。」

アナウンサー「そうですね。でも、日本語では、信号が青、とか、芝生が青いなどと、本当は緑なのにそれを青と言いますよね。」

日系老女B:「緑はグリーン、青はブルー。グリーンを青というなんて、あなた、学問が足らん!」

確かに日本語は芝が青かったり、黒髪や赤ん坊が緑だったりで厄介だ。色の誤解は興味深いし、日系人がアナウンサーを叱りつける場面も面白かったが、それ以上に、この「学問が足らん!」という言葉に感銘した。これは明治の日本語だ。現代では使わない。私は不勉強を指摘されることは多々あるが、この言葉を浴びせられたことはない。きっと、明治に移民してきた日本人は、砂糖きび畑やコーヒー畑で働きながら、アメリカ社会で苦労して子供を育てたであろう。子供たちは「学問が足らん」と叱られて育ったのであろう。その表現がハワイに残っているのだ。実際に日系三世たちは、学問を重ねて社会進出を果たした。今ではコーヒーに頼らずに生活をしている。日系移民の苦労が偲ばれた。

ちなみに、日系人の間ではTaranとは足りない、または短いことを意味し、Taran Taranと2つ重ねると、まぬけ、頭が足りない、学問が足りないの意味になる。

その晩、日本食レストランに行ったら、隣のテーブルで日本人の中年夫婦と日系三世の老夫婦が日本語で会話をしている。

日本人妻    「この前、小松菜をあそこのスーパーで見つけたの。」

日系三世妻「Komatsuna?」

日本人妻    「あら、小松菜、分からない?あの葉っぱの青い野菜」

日系三世妻「葉っぱの青い? Blue?」

Blue?と言ったきり、日系人のおばあさんは、首をかしげて、固まってしまった。きっと彼女は、緑ではなく青い色をした野菜を一生懸命に想像しているに違いない。頭の中が?マークでいっぱいになっていることだろう。

さて、コーヒー摘みは、枝に熟した赤と未熟の緑の実が混在している中から熟した赤だけを摘む。緑を摘んではいけない。収穫を手伝ってくれるピッカーに”Don’t pick blue” (青い実を摘まないでね)とついつい口走ったら、”Blue?”と困り顔。

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