モーハワイ☆コム

失恋はコーヒーで癒す


今年のコーヒー収穫のピークもようやく終盤。近所の農園ではもう収穫が終わって剪定作業に入っている所が多い。うちの農園はコーヒーの実がゆっくり育つために、例年、収穫が近所よりも1カ月以上長く続く。今シーズンも1月までは続きそうだ。

ところで、いつも、収穫を手伝ってくれるメキシコ人グループの中のA君。このところ、何かに取り憑かれたように、コーヒーを摘んでいる。毎日、夜明け前からやってきて、うちの門の前で待機している。まるで競馬の出走ゲートにいる馬の様だ。そして、スピーカーを畑に持ち込み大音響でラテン音楽を聴きながらコーヒーを摘む。

あまりの大音響に私は少し離れて作業をするようにしている。遠くから聴くと、低音のチューバが小気味よくリズムをきざんで、とても軽快に感じる。私も陽気なリズムに乗って収穫できるので楽しい。ラテン音楽が癖になりそうだ。

先日、うちの妻が面白いことに気が付いた。スペイン語のできる妻によると、A君は切ない恋の歌や失恋の歌ばかりをかけている。たまに、ハッピーな歌がかかると、収穫の手を止め、その曲をスキップ。そしてまた悲しげな歌がかかる。身長180センチ以上で体重は優に100キロを超えるマッチョな巨漢の割に、センチメンタルな趣味の持ち主だというのが、妻の分析だ。私には陽気なラテン音楽としか聞こえないが、悲しい曲なのか。チューバのリズムに乗って「君は僕の吐く息、吸う息、君が僕の命の全てだ」。スペイン語って不思議な表現をする。

そこのところをグループの他のメンバーに尋ねてみた。すると、「そうなんだよ。俺たちも、悲しい曲ばかりで困っているんだよ。実はA君、最近、恋人にフラれて、それ以来、こんな感じ。そんな悲しい曲ばっかり聴いていると、良くないよと、皆で忠告しているんだけど、止めないんだよ」、という事情らしい。

コーヒー畑にも色々なドラマがあるんだなぁ。傷ついた心をコーヒーにぶつけていたんだ。てっきり、快活な音楽に陽気な人々と思っていたのに。
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感謝祭の伝統


201712 Yale shirt
米国では11月23日が感謝祭(Thanksgiving Day)だった。人種・宗教の区別なく、米国民の誰もが祝う祝日。収穫祭の側面もあるが、様々な人やもの、あるいは神に感謝を捧げる日。一般の家庭では七面鳥をたらふく食べてゴロゴロする。中には、恵まれない人を招いて饗応する立派な家庭もある。感謝を捧げる(Thanksgiving)のがその精神だ。

この時期はコーヒー摘みのピーク。今年は10月上旬からほとんど休まずに働き続けて疲労困憊。ついに、感謝祭の前々日、100ポンドの袋を運んでいる最中に、完全にエネルギーが切れた。甘いものが欲しい。地面に四つん這いになりながら、最後の力を振り絞って出た言葉が「カルピス飲みて~」。それきり体が動かなくなった。

仕方がない。感謝祭と前日の2日間は収穫を中断して休息することにした。初日、カルピス片手に休息に努めていると、収穫を手伝ってくれているメキシコ人から電話。どうしても翌日の感謝祭にコーヒーを摘みたいという。メキシコ人には感謝祭の習慣がない。どのコーヒー農園も休むので、収穫のピーク時に唯一、収穫をするメキシコ人達が余っている日だ。彼らと一緒に、今年も感謝祭の日にコーヒーを摘むことになった。確かに、感謝祭は収穫の遅れを取り戻す良い機会である。感謝感謝。

20数年前、まだ邦銀のNY駐在員時代、感謝祭の日に私は妻を連れて休日出勤した。妻はロースクールの学生だったので、会議室で勉強。オフィスには誰もいない。仕事に集中できる。服装も自由。我々は留学時代に買ってもうボロボロになったYale大学のスウェットシャツ。気軽な恰好。仕事がはかどり気分良く退社。帰宅途中にTudor Hotelの入口に感謝祭ディナーの広告を見かけたので入ってみた。レストランは豪華なディナーを囲む家族連れで大賑わい。皆、着飾っている。特別な日だ。我々だけがボロボロのシャツ。いかにも場違だが、着替えて出直すのも面倒なのでそのまま着席した。

コースメニューに加えてワインも注文。次々と出る料理を堪能しいると、隣の席に一人のおじさん。こちらを見て微笑んでいる。「こっち見てニヤニヤしないでよー。嫌~な感じ」とか、「感謝祭に一人で寂しいの?仲間に入れてやろうか」など、日本語が通じないのを良いことに憎まれ口を言いながら食べ続けた。すると、おじさんはウェーターに我々のワインの値段を聞いている。「もー。服がボロボロだったら、フランスワインを注文しちゃいけないのかよー、おっちゃん!」と、またも妻と悪口で盛り上がった。

デザートまで平らげ、もー満足満足。勘定を払おうとすると、店長が直々に出てきて、厳かに「お支払いは結構です」。「えっ???」。よくよく尋ねると、隣のおっちゃん、じゃなくて、隣の紳士が支払っていったという。気が付けば、彼はいなくなっている。ボロを着たアジアからの苦学生が、感謝祭に暗いNew Havenの田舎町から華の都New Yorkへ来て、精一杯の贅沢な食事に、はしゃいでいると映ったのだろう。酔っ払って、彼の悪口で盛り上がっていただけなのに。その紳士にお礼がしたいと願ったが、「誰かは口止めされています。これは感謝祭の伝統なので、どうかお受け下さい」と、紳士的に諭された。罰当たりな我々を紳士たちは気品に満ちて饗応してくれた。

感謝祭の伝統。これが感動せずにいられようか。その後しばらく、日本人駐在員仲間に、諸君もアメリカの感謝祭の伝統の精神を学ばねばならないと談じて回った。

翌年、また感謝祭の日が来た。感謝祭の伝統を説いて回った私だが、根が卑しい。我家の伝統にするなら、ご馳走してもらう側が良い。前年と同じ服を着て、同じように休日出勤をして、同じ時間にTudor Hotelへ向かった。もう伝統だ。しかし、レストランは潰れていた。その一画は暗く、電灯は消えていた。
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コーヒー収穫のピーク 体力回復にチキンを食べに行く



収獲のピーク。今シーズンはこれまで26,300ポンドのチェリーを摘んだ。あと、10,000ポンド位かな。38日間で1日しか休んでいなかったので、疲労が蓄積して、昨日は畑の中で動けなくなった。体重も2キロ減った。今日は久々の休息。

このところ、コーヒーの根元を掘り起こす奴がいる。豚の仕業かと思っていたら、実は近所の鶏。うちの畑には野生の鶏も生息しているが、彼らは人が近づくとすぐに逃げる。
こいつらは、近所の人が飼っている鶏なので、近づいても平気。まんまると太っているくせに、うちの畑におやつを探しに来るらしい。土の中の虫を食べているらしい。コーヒーの実を与えたが全く興味を示さなかった。夕方になると、ちゃんと道を渡って帰っていく。
それにしても、私が痩せ細っていくのにぶくぶく太りやがって。体力回復のために、今日はチキンを食べに行こう。

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私たちは欠陥豆を排除します。


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小池百合子氏の「排除します」発言が話題になった。そんな言葉尻の是非よりも、日本の「国難」は金融・財政政策が共に破綻寸前という現状にある。なのに破綻回避の政策が争点にならないのは不思議な国だ。国が破綻したら国民は塗炭の苦しみ。福祉も医療も年金も教育もストップ。おまけに、誰もコーヒーなんか買わなくなるから私は困る。

さて、コーヒーの生産では「排除」はとても重要。高品質のコーヒーを作るには、様々な段階で好ましくない豆を取り除く。コーヒーは苦いという通念があるが、実は健康なコーヒー豆は苦くない。欠陥豆を丁寧に排除すると、苦味などの雑味がなくなる。もちろん、深煎りすると苦味はでるが、ミディアム程度の焙煎で苦味が出るのは排除が足りない。

私どもの農園では、収穫の際、あるいはそれ以前の段階から排除を繰り返す。まず、前年の収穫が終わると、枝に残った摘み残しの実を全て取り去る。摘み残すと、実の中のCBBという害虫が翌年に繰り越されるので、畑からCBBを住処ごと「排除します」。

春に新たな実が成長してくると、畑の全ての実を確認してCBBの虫食いになった実を「排除します」。CBBは放っておくと級数的に増える。早い段階で駆除して被害の拡大を食い止める。この作業は春から収穫シーズンまで続けられる。

収穫期は収穫の直前に、全ての木を見て回り、過熟して乾燥した実や熟さずに腐った豆などを取り除く。収穫の担い手のピッカーたちが、効率的に摘めるように、好ましくない実はあらかじめ「排除します」。

収獲中にはピッカー達の収穫用バスケットの横にジップロックの袋を取り付ける。バスケットの中には完熟した実だけが入るようにして、過熟実、腐敗実、乾燥実、未熟実などはジップロックへ入れて「排除します」。

ピッカーが摘んできた実は一か所に集めらる。写真のように、それを私がすべて確認して、好ましくない実は「排除します」。

隣の畑のJoeを見かけると、手を振って大声で挨拶、「ハイ ジョー!」します。

収獲した実は、夕方に精製所(Wet mill)へ持っていく。まず、水の中を通す。過熟して乾燥した実や、腐敗した実や、成熟不良の実は水に浮くので「排除します」。

沈んだ実は皮むき機に送られる。完熟した実は柔らかくて簡単に皮が剥けて、中のパーチメントを取り出すことができる。実が固く剥けないものは「排除します」。

皮が剥けたパーチメントは発酵槽で水に漬ける。虫食い、腐敗豆、生育不良豆などは浮いてくる。ボートパドルで何度もかき回し、浮いたパーチメントは「排除します」。

収穫シーズンが終わると、精製所(Dry mill)で、パーチメントの皮とシルバースキンを取り除き、生豆(グリーン)を取り出す。生豆は機械でサイズ分けする。サイズの大小による品質の優劣はないが、焙煎する際にむら焼きを避けるためにサイズをそろえる。この際、極端に大きい豆と小さい豆は「排除します」。

次に比重選別機で、中が空洞の貝殻豆や生育不良で比重が軽い物などは「排除します」。

さらに、私どもの農園は虫食い率が充分低いので採用していないが、農園によっては、日本のコメ用の色選別機を改良した機械で虫食いなどで変色した豆を「排除します」。

上述の精製所での様々な排除は、他の農園でも一般的に行われているが、前半の畑の中での排除は、私ども独自の作業。精製所のみならず、畑でも排除を繰り返すことによって、苦味、えぐみ、渋みなどの色々な雑味を「排除します」。

「排除します」。嗚呼、なんと美しい言葉。      

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雑誌「珈琲と文化」2017年秋号の原稿


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雑誌「珈琲と文化」2017年秋号に拙稿が掲載されたのでHPに掲載しました。ご笑覧ください。
コーヒーを摘むピッカーを確保するのに苦労した話です。
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コーヒー畑にも恵の雨


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毎日コーヒーの収穫。10月に入ってほとんど雨が降らないので、コーヒーの木は疲れてきた。葉っぱがしおれて、カラカラ。実もなかなか赤くならない。私も9日連続の収穫でヘトヘト。昨日に至っては忙しくて昼飯抜き。もう、体力の限界。

すると昨夜から久々の雨。というか嵐。今朝起きてみると、雨量計が溢れて、どれくらい降ったのか見当がつかない。畑に出てみるとコーヒーの木が瑞々しく復活。でも、強風で枝が折れたり、根こそぎ倒れた木が数本あった。

朝も豪雨が続いたので、今日はコーヒー摘みはお休み。肥料撒きを試みたが、あっという間にずぶ濡れで、早々に退散。

農作業は諦めて、朝から風呂。昼寝。午後はマッサージ。夜はフォーシーズンズで会食。極楽じゃ。
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KZOOラジオを聴きながらコーヒーを摘む


201710 KZOO
うちのコーヒーはKZOO放送を聴きながら育っている。KZOO放送(AM1210)はオアフ島ホノルルの日本語ラジオ放送局。ハワイ在住の日本人には、なくてはならない放送局である。私の住むハワイ島は離島だが、感度の良いラジオなら、海を隔て受信できる。

9月から1月までのコーヒー摘みの時期には、8年間も愛用しボロボロになったラジオを畑に持ち込み、大音響でかけながら夜明けから日暮れまで収穫作業をする。数ヵ月間、毎日同じ単純作業を繰り返すのは精神的にも肉体的にもきつい作業だが、KZOOのおかげで楽しく過ごせる。コーヒーの木も私と一緒にKZOOを楽しんでいることだろう。日本語を聴きながら育った、世界でも珍しいコーヒーという訳だ。

ところで、先日、ホノルルで買い物をしていたら、ビバルディーの音楽を聴かせて熟成した味噌なるものを見た。そういえば、世間にはモーツァルトを聴かせて育てた和牛や乳牛もある。音楽は人間以外の生物にもストレス軽減の効果があるということだろうか。

では、うちのコーヒーはどうかというと、KZOOを聴いて育ったので、ど演歌。KZOOでは色々な音楽が流れるが、なんといっても演歌が多い。ひょっとして、うちのコーヒーは別れや悩みや雨や酒や雪や海や恋の味がするかもしれない。ちょっと、ほろ苦いコーヒーということか。(でも、本当はうちのコーヒーは苦くないのが自慢である。コーヒーは生産の過程で瑕疵があると苦くなる。生産者が手を抜かなければ苦くならない。)

この際、「別悩雨酒雪海恋コーヒー」と商標登録してはとも思ったが、英語だとParting-Anxiety-Rain-Alcohol-Snow-Ocean-Love Coffee になり意味不明なので諦めた方が無難だ。でも、頭文字をとればPARASOL。ちょっと小粋なパラソル・コーヒー。

KZOOは演歌だけではない。時折、落語がかかるので、お笑いの要素もコーヒーに教え込んでいる。人はコーヒーで安らぎの時間を過ごすのだから、笑顔は必須だ。

また、以前、直木賞作家の渡辺喜恵子著『プルメリアの木陰に』が朗読された。写真花嫁の物語。かつて、官約移民でハワイに渡った日本人男性の花嫁を写真だけのお見合いで日本から迎える制度があった。ひとりの日本人女性がコナのコーヒー農園の日系二世の男性に嫁ぐも、畑はだまし取られたうえ、夫に先立たれ苦労する物語。コナコーヒーは日本人の移民が築いたコーヒー。こういう朗読を聴かせて、日本人移民の苦労の歴史も教えている。きちんと情操教育を施したコーヒーという訳だ。

演歌がコーヒーを美味しくするとか、落語がコーヒーを快活にするとか、朗読がコーヒーを正しい道へ導くかは、その効果のほどは不明だが、どうも音は植物に良いらしい。フィレンツェ大学の研究によると、音楽を聴いて育ったブドウは音楽のない環境のブドウより生育が良かったそうだ。さらに、音楽は害虫を混乱させ木から遠ざける効果もあった。

同大学のマンクーゾ教授によると、植物は音楽というよりも、主に根を通して音の振動に反応している。根は細胞が成長する際に細胞壁が壊れるカチッという音を出して、根どおしで音の振動を介してコミュニケーションをしながら成長する方向を決めている。そして、特定の周波数の音に成長を促す効果がある。動物とは全く異なるメカニズムなので、我々には簡単には理解しがたいが、植物は視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚などの感覚を持ち、知性を兼ね備えているそうだ。だからこそ、地球上でこれほどまでの繁栄に成功した。やっぱり、コーヒーの木は賢いのだ。

だから私は声を大にして断言する。KZOO放送はうちの畑のコーヒーに良い効果がある。と思う。たぶん。だといいけど。。。。

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コーヒー摘みの季節到来


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コーヒーの実がドンドン赤くなってきた。

赤いのだけを摘む。

やっぱり収穫は楽しい。

このために一年やってきたんだから。
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Costcoでタイヤ交換


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ピックアップトラックのToyota Tacomaを買って6年。初めてタイヤを交換した。
新しいタイヤはトラック用の丈夫な物。空気圧も高め。窒素入り。
これならコーヒーを1トン積んで運んでも大丈夫そう。
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コナの夕陽


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うちのコーヒー畑は真西を向いているので、春分と秋分の頃には、水平線の真正面に夕陽が落ちる。
これから冬に向かうと、夕陽の位置は左へ移動する。
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