スティーヴン・スピルバーグの映画で「Catch Me If You Can」と云う映画がありました。1960年代に、パイロットや医師、弁護士に偽装して、世界各地で小切手偽造事件を起こし「天才詐欺師」と呼ばれたフランク・アバネイルの生活を描いた映画です。フランクは、21歳で逮捕されるまで5年に渡って、不渡小切手を乱発する犯行を重ねました。2002年、レオナルド・ディカプリオがフランクを演じて当時話題になりました。
アメリカはその手の天才を生み出す素地をもつ大国のようです。その「天才詐欺師」フランクに負けない、映画のような世界を生きていた少年がいました。彼の名前は、コルトン・ハリス・ムーア。昨年の7月に逮捕され話題になった少年ですが、先週金曜に法廷で罪を認めました。10月には5年〜6年の刑が確定するでしょう。週末、彼のニュースが新聞とテレビの特番で取り上げられていました。
昨年アメリカの世間を「あっ!」と言わせた伝説の18歳の「裸足の逃亡者」はすでに20歳になっています。ワシントン州シアトル郊外の麻薬とアル中の両親の恵まれない家庭で幼児時代を過ごし、自宅で生活するのが嫌になり屋外で生活するようになります。他人の空別荘に忍び込んで、毛布、食料などを盗んだ容疑で初めて保護されたのが12歳の時。2003年12月から2007年2月の間に9回逮捕されました。2008年4月、コルトンは17歳になるとすぐに収容所を逃れ、彼の2年以上の逃亡生活が始まります。
2010年7月にバハマで逮捕されるまで、コルトンにかかる容疑は100にも及ぶ重罪窃盗容疑です。彼は生き延びるために窃盗を重ねました。ある時は、留守宅に忍び込み、シャワーを浴び冷蔵庫のアイスクリームを盗みました。ある時は、逃げるためにセスナ機を盗み、燃料が切れて湿地に不時着させセスナ機を破損させます。わかっているだけでも、ワシントン州、アイダホ州やカナダなどで、5機の小型航空機、高級車、高級ボートなど少年の犯罪とは思えません。
小型航空機の操縦は、インターネットで操縦マニュアルを購入して、フライト・シュミレイター・ゲームで学んだと言われています。インディアナ州の空港で盗んだセスナ機では、はるかかなたフロリダ州沖のバハマ諸島まで飛行しています。この時点で彼に掛けれられた懸賞金はわずか1万ドル(約81万円)でした。窃盗現場のいくつかには裸足の足跡があり、監視カメラには裸足で逃走する姿が映っていて、彼は「裸足のならず者(The Barefoot Bandit ) と呼ばれるようになります。
逃亡中のコルトンの人間性を垣間見る逸話がいくつもあります。シアトル郊外の動物保護シェルターに手書きのメモに100ドルが添付されていました。「近くまで来たので、この現金を動物のために使って下さい。コルトン・ハリス・ムーア」
逮捕されるバハマ諸島でも裸足のコルトンが街のバーなどで目撃されていました。すでに銃の所持が確認されていたので、人に危害を加える危険が出てきました。アメリカの捜査官、FBIも必死にバハマ諸島当局の警察の助けを得てコルトンを追い詰めます。最後には44フィート(13m)の高級パワーボートを盗んで逃走します。キューバに亡命するのが目的です。ついに警察が追い詰め、コルトンのボートのエンジンめがけて何発も銃を発砲します。映画「007」のジェームズ・ボンド顔負けの逃走です。最後は、追い詰められたコルトンは銃を取り出し、銃口を自分のこめかみに当てます。警察の懸命の説得によって、裸足のコルトンは2年3ヶ月の逃亡生活を終えます。
フェイスブックのコルトン・ハリスのファンクラブには、2万3千以上の人が登録しています。フェイスブックの顔写真は、盗んだ高級乗用車ベンツを急いで乗り逃げる際に車内に忘れられた盗品のカメラにあったものです。人が誰もいない森林の中で寝転び、カメラを自分に向け撮られたものです。穏やかなとてもいい顔をしています。
コルトンの地元シアトルでは、コルトンの顔がプリントされたTシャツが売られ、彼の歌までできている人気者です。まるで映画のようなコルトンの逃亡ストーリですが、当然映画会社が目を付けないはずがありません。昨年20世紀フォックス映画会社が製作権を獲得しています。ハリウッド映画を通して世界にコルトン・ハリス・ムーアの逃亡生活が知られることとなるでしょう。
でも、なぜFBIや捜査官が18歳の少年を捕らえるのに2年以上もの長い年月がかかったのでしょうか?コルトンが大きな罪を犯すのを未然に防ぐことできたはずです。何人もの捜査官は一体何をしていたのでしょう。彼が犯した罪を弁護するつもりはありませんが、彼が追い詰められたのは一つに大人社会の責任でもあるはずです。
17歳から19歳の貴重な少年の時間は取り戻すことができません。コルトンの弁護士によると、刑期を終えたら、大学に進んでエンジニアの分野を学びたい言っているそうです。もう逃げる必要もありません。一日も早く社会復帰して、すばらしい才能を伸ばしてほしいものです。
コルトン・ハリスのフェイスブック・ファンクラブ
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