神戸支社長が「神戸支社へ行こう」と言い出しました。
神戸支社の人間として、神戸がどうなっているか見なければ、というのです。
ボクは反対しました。もう一度大きな地震が来るかもしれなかったからです。
が、そんなことりも、せっかく拾った命を失いたくない、
という気持ちがありました。長男はまだ2歳にもなっていません。
が、それはちっとも正論ではないわけで、結局、神戸へ行くことになりました。
大阪から行けるところまで電車に乗り、そこからバスで港へ。
港から船で元町へ向います。
被災地の奥へ進めば進むほど、体から力が抜けていきました。
元町について、泣きそうになりました。なんで泣きそうになったのか。
怖かったのかもしれません。街がおもちゃのようにつぶされています。
クルマが、ミニカーのように海に落ちていました。
百貨店の2階がなくなっていました。道路に散乱するガラスの破片。
廃墟の中を三宮まで歩き、支社ビルまでやってきました。
ビルは無事でした。なんと、三宮で無傷だった数少ないビルのひとつでした。
「これなら出社してても助かったかもしれんなあ」
そう話しながらオフィスがある階へ。
オフィスはぐっちゃぐちゃになっているものの無事でした。
ただ、ボクの席だけ、天井が落ちてきていました。