突然でした。見覚えのある眼がオフィスに入ってきました。眼は見覚えがあるのに、容姿は見覚えがありません。え? が、その獲物を狙うような、でも妙に優しいような、眼。記憶というものは不思議なものです。さっきまで忘れていたものが、一気に噴出してきました。

やすだこうへい

え?まさか?
安田幸平「しゅんちゃん、久しぶり」
まじっすか!

わたくし、前の会社で、コウコク制作という仕事をしていました。若くしてリーダークラスの仕事を任されることになり、有頂天になっていた時期がありました。安田幸平氏は2年先輩でした。リーダークラスのミーティングで顔を会わすたびに、わたくしは噛み付いておりました。うっとおしい後輩やったと思います。

仲が悪いと言われていました。そのうち、安田幸平氏は東京へ異動になりました。東京で苦労しているという話を聞きました。

どのタイミングか忘れましたけど、一度会いにいったことがあります。わたくし、感情で噛み付いたことはないつもりでした。役割として、言うべきことは言わねばと思ってやっていました。ただ、礼儀とか気遣いがありませんでした。苦労されてるのを聞いて、なぜか、それを詫びたくなりました。死ぬかもしれない手術をして、でもって阪神大震災を体験して、ちょっと人間が変わったのかもしれません。

一緒にメシを食べただけでしたけど、すんごく胸がすっきりしたのを覚えています。安田幸平氏は気にするな、と言ってくれました。そんなことがあったので、その眼ははっきりと覚えていました。

尋ねてきてくださったこと、まじでうれしかったです。うれしいなあ。