自閉症の治療が可能になった近未来のお話し。

この自閉症の治療というのが、胎児・乳児にしか効果がないため、治療に間に合わなかった最後の自閉症者世代となった、製薬会社に勤めるルウという男性が主人公です。

根本的な治療は受けていないまでも、画期的な訓練を受けているため、自活して仕事をして、趣味のフェンシングも続け、正常な人達(文中でノーマルと表現されているのでそう書きます)とそれほど変わらない生活をしています。
そんな彼と同僚達が、新しい治療方法の実験台にならなければ解雇する・・・と上司から迫られます。
自閉症者だった時の記憶はどうなるのか?
今のままの自分ではなぜいけないのか?
と悩みながらも、結局自分の意思で治療を受けることにするルウ。
日々の生活の中での『こんな時、ノーマルはどう対処するのか?』といった苦悩や、治療を受けようと決断するまでの葛藤などが、とても繊細に書かれています。

ハラハラドキドキするような展開はないのですが、静かに感動できる小説でした。

自閉症やアスペルガー症候群などの病名をつけられた人と、どこにでもいるちょっと変わった人との境界線は、本当に存在するのか?
考えさせられました。


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