■修学旅行事前学習 ------ 東大寺学園編
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太平洋戦争における日本と米国のかかわり
数多くの悲劇を生み出した太平洋戦争が終わってからもう56年になる。今回、私たちは修学旅行として常夏の島ハワイを訪れることになったのだが、ここハワイの真珠湾は現在の美しい光景からは今となっては想像するのが難しいが、太平洋戦争の勃発した湾であり、日本にとっても、アメリカにとっても決して忘れることのできない、そして忘れてはいけない場所である。

日本海軍が行った12月8日の真珠湾攻撃については、アメリカ側にもミスがあったとか、あれは国際世論を味方につけ、日本に対する嫌悪感を植え付け自国民や兵士の士気高揚を図りたいアメリカ政府とアメリカ軍の高官達の陰謀で、そのためにアメリカ海軍が虎の子の新鋭空母を中心とする機動部隊を真珠湾から避難させ、旧式の戦艦と小型艦を日本に攻撃させるためにわざと残しておいたんだと主張する人もいる。そのことは日本の情報がアメリカ側に漏れていたことや撃沈した艦の資料を見る限り、その可能性も無いとは言い切れない。

12月8日のしばらく前から日本の機動部隊の動向が不穏であったのに、当日真珠湾の近海を哨戒していたアメリカの駆逐艦が日本の小型潜航艇を発見、これを撃沈し司令部に報告しているのにこれを軽視した太平洋艦隊司令部の怠慢や、ハワイのレーダーサイトが真珠湾に向かう多数の攻撃機の機影を捉えていながらこれをいかせなかった陸軍の怠慢など、アメリカ側に戦術的認識の甘さがあり、このことが奇襲を成功させる一因となったことは事実である。

しかし、アメリカ側に陰謀があったとしても、日本が宣戦布告の前に攻撃し、最も基本的な国際法を破ったことはまぎれもない事実である。何の宣言も無しにいきなり自国の港が空襲を受け、多くの若い水兵や若干の民間人が犠牲になったのである。その詳細はこうだ。攻撃が開始された7時50分、多くの民間人は眠りについていた。ワシントン政府は太平洋上の前線拠点、フィリピン、グアム、ウェーキなどに多数の警戒を送っていた。アメリカ情報部が日本の最高外交通信の暗号即ち、パープルコードを解読しており、これらは日本が近いうちに軍事行動にでることを示していた。

また、FBIが盗聴した日本のハワイ駐在のスパイと東京とのやりとりもそれを裏付けるものであった。が、アメリカが世界で無敵であるという幻想が、ハワイは絶対に安全だという誤った一般感覚を助長した。この日もそうした雰囲気の漂う、いつもと変わらぬ朝を迎えていたのだ。

日本機を目撃した兵は最初、海軍がまたいつもの曲芸飛行をやりだしたのだと思ったそうだ。しかし、次の一瞬、それが敵であることを彼らは認識せざるを得なくなった。湾内に停泊していた6隻の戦艦に一斉に火の手が上がったのである。まず、戦艦オクラホマが雷撃を受け大破、座礁。乗組員が救出されるまでに415名が窒息死した。

次に、近くにいた戦艦カリフォルニアとウェスト・バージニアも雷撃と爆撃を受け座礁した。重油が船体から流れ出しその油の海に乗組員は放り出された。湾の外へ逃げようとしていた戦艦ネバタも爆撃を受け大火災を起こしていた。

最も大きな損害を出した、戦艦アリゾナは7発もの魚雷攻撃を受け、さらに前部火薬庫に爆弾が命中し、艦はすさまじい轟音とともに水上にせりあがるかのように傾斜し、その火の粉は近くの艦に降り注がれた。たちまちこの戦艦から150メートルもの高さまで火炎が上がった。炎上するアリゾナにさらに3発の爆弾が命中するやいなや、アリゾナはまた激しい轟音とともに、火花を散らしながら、船体をたてなおす間もなく、またたくまに沈没した。乗組員に退避する余裕はまったく与えられなかった。多くの乗組員が業火の中に突き落とされ、火災や窒息で死亡した。アリゾナだけで実に1000名を越す者が死亡したのだ。この他にもアメリカ軍はわずか数時間の間に8隻の戦艦やその他にも多数の艦が戦線からの脱落を余儀なくされ、多数の航空機が破壊され、2403人にも及ぶ人命が失われた。

以上が12月8日の惨事であるが、このようなことをされて黙っていられる者はいない。56年経った今でも多くのアメリカ人は真珠湾を忘れてはいない。彼らにとって、過去にこれほどの屈辱は無かった。日本人の中には、そのことを忘れてしまっている者も少なくない。人道を無視した、広島・長崎への原爆投下を実行しておいて何を言う、といきり立っている者もいる。

確かに、原爆投下は許すことのできない行為である。が、真珠湾の恨みがこのような行為を助長したことを忘れてはいけない。彼らにとって真珠湾は日本における広島のようなものなのである。今日、わが国とアメリカ合衆国との仲は良好であるが、それをうわべだけのものにしてはいけない。真に信頼のできるパートナーシップを維持するためには相手のことを理解することが重要であることはよくいわれることである。その一環として、今回の修学旅行でハワイのこと、特に、真珠湾のことを少しでも多く理解しなくてはいけない。

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