
下の記事で紹介したHAPAが10月に来日コンサートを行います。
日程など詳細はこちら↓
[(http://www.conversation.co.jp/schedule/hapa/|HAPA Japan Tour 2009“HULA MAI”─Music and Hula Concert 2nd Season─)]
HAPAを生で聴いたことがないというあなたは、この機会にぜったいに観に行ってほしい。CDもすばらしいけど、HAPAはライブが本当にすばらしいのです。
僕が90年代にハワイに住み始めて、しばらくしてからハワイアン・ミュージックの虜になったきっかけは、ほかでもないHAPAのデビューCDでした。なぜHAPAだったのか。それは彼らの音楽が、その他多くの「ただのハワイアン」ではなかったから。東京のFMラジオ畑で仕事していた音楽好きの僕にとって、ハワイアン・ミュージックはじつは蚊帳の外でした。ハワイの地元の音楽を聴いても、あまりピンとこなかった。当時の僕にとっては街で耳にするハワイアンの多くは「ただのハワイアン」でしかなかった。今振り返れば、何をして「ただのハワイアン」というのか、と自分に突っ込みたいところだけど。でもそんな頃、ハワイの音楽シーンにHAPAが登場したのです。初めて聴いたHAPAの音楽は違った。音楽好きを自負する僕を初めてうならせた彼らのハワイアン・ミュージックは、ジャンルを超えた「優れた音楽」だった。では何をして「優れた音楽」というのか。僕の場合、それはクロスオーバーしているかどうかが大きなポイントになっているようだ。さらに一聴してわかるオリジナルなサウンドを持っていること。
HAPAのバリー・フラナガンに前に聞いたことがあります。シンプルなハワイアン・ソングのひとつであるカ・ウルヴェヒ・オ・ケ・カイを、アレンジのすばらしさで完全にオリジナリティーあふれるHAPAバージョンとして生まれ変わらせてしまったその秘密はなんなのか。バリーの答えは「ベースラインだよ」。彼はデビュー・アルバムに収録されたその曲のレコーディングの際、スタジオでの録音を重ねながら、自分たちのサウンドにすべく音を探していた。行き詰まってスタジオから出て外の空気でリフレッシュしているときに、頭の中である曲が流れた。オーティス・レディングのドック・オブ・ザ・ベイ。音楽好きなら誰でも知る60年代の名曲。そのとき、カ・ウルヴェヒ・オ・ケ・カイのベースラインがひらめいたのだという。僕にとっては目からウロコのエピソード。
バリーはハワイアン・ミュージックをクロスオーバーさせてしまう才能あふれるアーティストであるけれど、人一倍ネイティブなハワイ音楽のルーツに対して愛情を持っている。ハワイ文化への思い入れの強さは僕など足下にも及ばない人。だからこそのHAPAのすばらしさなんだ。
バリーのギターとネイサンの歌声、HAPAが演奏するフラ・ソングはいい。けれどHAPAの音楽はフラのBGMではない。フラを踊るのにすばらしい音楽ではあるけれど。このニュアンス、わかってもらえたらいいのですが。
コンサート、楽しんでくださいね。
最近のコメント